⭐エピソード集「アシステンツァの実り」Vol.2
Episode 121 M.H (20歳・卒園生女児・2022年春ごろ)
卒園後も近況の報告を定期的にしてくれるMさん。入所時もよく話し、つらかったことや楽しいこと、楽しみなこと等をたくさん話してくれていた。最近は子育てをしていることもあり、電話をしてくれた時に話す程度。でもその時に、“一人で子どもと向き合うことが怖い”といったことを話してくるときがある。彼女が受けたことを子どもにしてしまうかもしれない恐怖。それはとても怖いことだと思う。私に正解の言葉はわからない。でも、私に掛けられる言葉を探して伝える。彼女は最後に「また電話するね」「また会いに行くね」と言ってくれる。
私にできることは、彼女の不安を聞いて少しでも負担を減らすこと。以前一緒に生活していた子どもたちも変わらず、『ヨゼフの子どもたち』。連絡がつかない子もいるが、連絡がないということは元気でいるということだと期待し、願っている。
Episode 122 職員I(男性・2022年9月)
時間に追われバタバタと仕事をこなし一息ついたところ、大量に汗が出てきた。「暑いですよね。良かったら、使って下さい。」とポタポタと汗を流している私の様子を見て、扇風機をこちらに向けてくれた。さりげない優しさと気遣いに顔も心ほころんだ。ありがとうI兄。人知れず、職員や子ども達のために悩み、迷い頑張る姿を、これからも応援しています。
Episode 123 職員 (たまご&ひよこ・2022年9月)
勤続年数別に職員のグループ分けをして、そのグループごとで施設職員として、また聖ヨゼフ寮の職員としての人材育成のための取り組みを行っている。
メンバー1人ひとりの新鮮な視点、真摯な仕事への姿勢、細やかな配慮、学ぼうとする意欲に、毎回、感心する。子どもたちに対して、それぞれのメンバーが、それぞれの良さを、それぞれの愛のあり方で支援をしようとする姿は、素晴らしいと思う。積極的に理念を理解しようとする姿もあり、新人職員の学びの場でありながら、私の方が、彼らから学ぶことが多いように感じている。素晴らしいメンバーに恵まれ、共に学び合い、分かち合い、高めあっていけることを、心から嬉しく思う。今後も、有意義な学び多い良い時間を過ごしていけたらと思う。追伸:「議事録のチェックが早くて、毎回、助かっています。いつも、ありがとう。」
Episode 124 N.H(15歳・女児・2022年8月)
「今日も可愛いね。」「毛先のくるっとしたのが可愛い。」と笑顔で言ってくれたNさん。いくつになっても褒められると嬉しいものだ。日々、色んなことに悩み、決して心に余裕がある状態ではないと思うが、顔を合わせると笑顔を向けてくれたり、細やかなところに気付いて褒めてくれるNさんの姿勢を見て「私たち大人の方が、体調や機嫌の悪さを表情や言葉に出してしまっているのではないだろうか。」と感じた。
良い日もそうでない日もあるが、Nさんを見習い、どんな時も笑顔で周りの人をさりげなく褒めることが出来るような人でありたい。Nさんからもらった幸せな気持ちを何倍にもして、Nさんをはじめ、周りの人たちに返していきたい。
Episode 125 S.F(12歳・女児・2022年7月)
泊まり明け勤務の朝。空模様は良い天気に恵まれており、折角なのですがすがしい一日の始まりにしようと、起きて来たSさんに「おはよう!」と笑顔で声を掛けた。リビングに出てきた彼女はムスッとしたまましばらく立っており、しかめっ面をしてトイレに入っていった。「なんなんだよ、朝からその態度は・・・」と思わず心の中でつぶやいた私のその心模様は一気に曇ってしまった。トイレから出てきた彼女は一言も発することなくテーブルに着くが、いつになくふわっふわに上手く仕上げることが出来たスクランブルエッグの皿もブスッとした顔で脇によける。カチンときたが忍耐、忍耐。朝から忍耐。
彼女からはイライラオーロが静かに出ており、下手に声を掛けると地雷を踏むパターンか。これ以上お互いに不機嫌にならないよう静観する。結局ヤクルトだけを飲んで自室に戻る。いつの間にか登校準備をして出てきており玄関で靴を履いていた。「なんも食べんで大丈夫なん?」と声を掛けると、彼女は喉を押さえながら、かすれ声で「喉が痛くてしゃべれん」と。そういうわけだったのか!と気づいてもすでに遅し。靴を履いた彼女は玄関を出て学校に向かって行った。「いってらっしゃい」と声を掛けると、振り返らずにコクリと頭を静かに下げた。その背中を見送りながら、なんでもっと早く「大丈夫?」と声を掛けられなかったのだろうと反省しきり。
心配よりも怒りが先行してしまっていた自分の心の小ささに気づかされる雨模様の朝になってしまった。
Episode 127 R.N(8歳・男児・2022年8月19日)
この夏も伝統行事である「夜間ハイク」が行われた。中津の名所である「青の洞門」から聖ヨゼフ寮までの道のりを日が沈むタイミングを見計らって皆で歩いて帰ると言うものである。途中に休憩ポイントが用意されており、そこで私は水分補給をした後、あめ玉の他にハイチュウもポケットに入れて、再度歩き始めた。またしばらく歩いて、今度は糖分補給をしようと先ほどゲットしていたハイチュウを食べることにした。横には一緒に歩いていたRくんもいたので「ハイチュウ食べる?」と声を掛けたが、いらない様子。自分の口の中に放り込んで歩みを進めていたら、今度はRくんがニコニコしながら「ハイチューあげようか?」と言ってきた。「いま、食べてるからいいよ」と言うも「ハイチューあげるね」と言ってくる。するとRくんは自分の右手の指をすぼませて、僕のほっぺたに付けてきて、「はい、チュッ!」と言うや否や「えへへへへ」と照れ笑いをしながら走って先を進んで行った。思わぬダジャレとキュンとなる行為に驚かされ、思わず笑みがこぼれた。糖分以上の愛情パワーをもらい、心もからだも一瞬にして元気百倍になった。先に行ってしまった彼の背中に向かって「お菓子なシャレはやめなしゃれ~~」と言ったが、聞こえてはいない。
Episode 128 T.K(中1・男児・2023年3月)
ある日、お別れ会のセレモニーの感想を教えてくれた。
「辞める職員に子どもがああやって泣きながら思いを伝えるのって、俺めっちゃ感動するんよね~。もしも、T兄が辞めるってなったら俺がやるけん、俺が家に帰るってなったらT兄がやってね」と。
僕が「T兄、T君と口論になってばっかの思い出しかないんやけど(笑)」と伝えると、「他にもあるやろ(笑)。確かに口論になってばっかの思い出も多いけど、俺がヨゼフに来た日から今日までT兄は俺の悪いところをお構いなしに言ってくれよったけんやろ(笑)。俺は何個も施設行っとるけん思うんやけど、最初はみんな優しくて俺の言いよること許してくれて何も言ってこんのよ。でも、時間が経つと許してくれよった事を注意してくるけん、は?意味分からん?ってなる。T兄と口論になったときはめーーっちゃイラつくけど、時間が経った時に確かにそうやなってなるんよね。やけん、俺はこれからも沢山口論になっても良いって思っとるんよね!(笑)」と。
僕は思いました「勘弁してくれ!(汗)」と。
Episode 129 K.G(14歳・男児・2023年5月)
Kくんは以前にもヨゼフ寮へ入所しており、その時はまだ小学生であった。衝動性がありトラブルになることもよく見られた。
先日、学校からS・O(小1男児)と手を繋いで帰園している所を見かけた。私はその場面を見て心が温かくなったと同時にほっこりした気持ちになった。またKくんの成長ぶりに感動した。職員からもらった愛情を今度は下の子どもたちへ沢山分けていってね。頼りにしています。
Episode 130 N.R(小4・男児・2023年5月)
毎日の宿題に音読がある。音読カードにはチェック欄があり、私はいつものように自分の名前をサインしようとした。すると、R君の筆跡で3日分のNというサインが書かれていた。R君に自分の名字を書いた理由を訊いてみた。「だって、お母さん(が書いてない)やないやんって友達に言われた」と、ぼそっと話した。ああ、この子達は園外で施設にいることに引け目を感じて生きているんだ、毎日違う名の職員がサインすることが負担になっていたのだと私は感じた。何気なくサインすることへの配慮が足りなかったと私は心の中で詫びた。それから、R君を含めたどの子にも私は「すらすらと読めました」等と音読の様子を書くようになった。子どもが園外で背負っているものに気づける自分でありたいと思う。
Episode 131 W姉弟(小5女児・小3男児・2023年5月)
W姉弟は、今年の3月14日、緊急一時保護という形でここにやって来た。その後、そのまま一時保護として約2ヶ月間が過ぎようとした5月8日に、入所となった。でも登校は22日からとなり、結局2ヶ月以上園内で過ごす結果となった。
6月4日の棟日誌に、姉弟の会話が記録されていた。姉が弟に「家ではおねしょしてなかったのに、なんでヨゼフに来ておねしょをしはじめたん?」と尋ねており、弟は「不安やけんやら」と恥ずかしそうに答えたとのこと。
日頃から明るく、元気で伸び伸びと遊んでいる彼であるが、外から見えない心の中では胸いっぱいの不安を抱えて生活していたんだと気づかされた。
親元を離れ生活する子どもたち一人一人の心の中には、私の想像出来ない大きな悲しみや不安が有るのだと改めて考えさせられた。
Episode 132 S.S(5歳・男児・2023年5月)
小さい時にやってきたS君。日に日に成長していて、いつも驚かせてくれたり、私の心を動かしてくれている。小さい時からS君にご飯を食べさせてきたが、最近では自分で綺麗に食べることが出来ていて、食べさせるという事も減ってきた。そんな中、3歳のKちゃんが同じ棟にやってきた。Kちゃんは最後の方になると「食べさせて」と言い食べさせてもらう事がある。ある日それを見たS君が、「ぼくがする」と席を立ち、上手にスプーンを使って食べさせてくれていた。私はとても嬉しかった。私の目標にしている優しさの連鎖が、目の前で起きていることにとても感動した。こうしていつも、優しさの連鎖を見せてくれるS君に、私はいつも心を動かされている。
Episode 133 K.W(10歳・女児・2023年5月)
3月下旬から一時保護としてロメリ棟に来たKちゃん。保護中の制限がある中で棟外出や行事に参加出来る事をとても喜んでいる姿が職員としてとても嬉しいものであった。5月から正式に入所。そんな彼女がよく私に「○○姉がいい、担当になって」と抱き着きながら言ってくれるようになった。今まで言われたことがなかった言葉をKちゃんが言ってくれた時、私の心の支えになるには十分の言葉でもあった。この気持ちを忘れず、貰ったものはしっかりとお返しをしていきたいなと思った。Kちゃんありがとう!そして大好きだぞー!
Episode 134 R.K(12歳・男児・2023年3月9日)
施設に入所している子どもたち。劣悪な環境で育った子ども、親から充分な愛情を注がれずに育った子ども、暴力で支配されてきた子どもたち、理由は様々である。職員は彼らの親代わりではあるが、子どもたちとは血のつながりはない赤の他人同士である。
中学1年生のR君とは、彼が小学生の頃に出会い、よく寝かしつけの時にいろいろ話した記憶があり、中学生になってからもその記憶が強く印象に残っている。子どもから寝かしつけをお願いされたとき、最初は戸惑いを感じ、正直嫌だった。でも段々と子どもと会話をしていく内にそんな気持ちが無くなっていた。小学生の時にあんなに寝かしつけで会話をしていたのに、中学生になって寝かしつけが無くなると、自然と会話が少なくなり、ほんの少しだけだが寂しさを感じた時もあった。赤の他人(子ども)だろうと人は独りだと寂しい気持ちになるんだと、子どもに教えてもらったような気がした。
Episode 135 S.W(小学3年生・男児・2023年4月頃)
丸坊主頭がよく似合うS君。いつも礼儀正しくて、とても気持ちのいい子である。
私が宿直勤務の時、だいたい21時頃、S君が生活しているユニットに出向くのだが、玄関のドアを開ける音に反応して寝室から大きな声で「○〇兄こんばんはー」といつも元気よく挨拶をしてくれる。
職員としては、「寝る時間だから大きな声を出さずに早く寝なさい」と言わないといけない場面かもしれないけど、あまりにも可愛すぎてクスッと笑ってしまい、私も割と大きな声で 「こんばんは」と返事をしてしまっている。声のボリュームについては、お互い時と場合を考えて調節することは今後の課題として・・・💦
しかし時間帯関係なく素直に気持ちのよい挨拶ができる子は、とてもステキだと思う。
毎日慌ただしくて、おろそかになっていた気持ちの良い挨拶。
S君を通して、自分自身を振り返るきっかけになった場面であった。
S君!!気づかせくれてありがとう!!
Episode 136 O.S(8歳・男児・2023年5月)
S君がヨゼフに来て学校に行き始めた頃、宿題にもかなり時間がかかり特に音読が苦手で、文ではなく一文字ずつ読んでいた。僕は「これは根気強くやっていかないとなぁ」と思っていた。
しかし、気付けば半年が経ち、以前に比べる随分とすらすらと読んでいる。そんな彼の姿に僕は子どもの成長スピードの凄さを実感した。僕もそんな子ども達の成長を支援するために職員としてのスキルアップを図りたい。
「さぁ、S君一緒に成長していこう!!」
Episode 137 R.O(9歳・女児・2022年10月)
長い一時保護期間を経て、ようやく登校が出来るようになったRちゃん。転校というかたちになり、友人もいない学校へ不安を抱えながらの登校初日。なんと彼女がクラスでの自己紹介で行ったのは、一発ギャグ。初対面のクラスメートの前で変顔を披露していたのだった。持前の明るさを活かし、早くもクラスの人気者となり、たくさんの友人と多くの時間を共有している。先生からの信頼も厚く「クラスにいてくれてありがたい存在」と、とても評価されている。これからも元気で明るく、楽しい学校生活を送ってね。
Episode 138 K.W(10歳・女児・2023年5月)
外で遊んでいたら、シモンチェリ神父様に誘われたKちゃん。マリア様のご像の前で神父様と一緒に、目を閉じてお祈りをした。とても素直に手を合わせて、覚えた祈りを唱えていた。
Episode 139 S.H(中1・女児・2023年5月)
学校から帰ってきて、事務所に「ただいま」の挨拶をしてくれる。挨拶のお礼と、学校を頑張ったことをねぎらう意味を込めてグミを渡す。今日は、少し話したい気分だったのか椅子に座り話始める。学校や部活動で疲れているのか?なにか嫌なことがあったのか?何か困っていることがあるのか?なんだか言葉にトゲがあり、私はどんどん悲しい気持ちになっていった。話を聞きながら、色々なことを考えた。「この子が私の子どもだったら?」「この子が相手を知らず知らずのうちに傷つけていたら?」など・・・
私の子どもだったらきっと注意をして、よくないことを伝えるだろう・・・
私が話を聞いていて悲しくなったことを伝えるだろう・・・
でも、今この子にそれを伝えても、受け入れる心の余裕はない。
じゃあどうする?と話を聞きながら考えた。
きっとこの子は厳しい環境で育ち、私たちには計り知れない辛い経験をしてきたと思う。まずは、安心できる環境で、温かい愛情をたくさん注ぎ、温かな言葉のシャワーをたくさん浴びることが一番かな?
(対、職員だったため。対、他の子どもとなると、また、違った考えになると思う。)
その時々で何が正解なのか分からないが、その場を適当に過ごすよりは「考える」ことが良かったかな?
Episode 140 R.N(9歳・男児・2023年4月)
入所当時は1歳10ヶ月で、発達にも遅れがあったR君。まるで赤ちゃんのようで、「牛乳飲む人~!」と言うと、手を上げて「ぁ~い」と満面の笑みで反応し、牛乳をだらだらと零しながら口の周りを真っ白にして牛乳を飲んでいたとても可愛いR君。そんなR君も入所してもう7年以上が経っている。今では同年代の子どもたちの中では能力も高く、入所時のハンディキャップなど一切感じさせない成長ぶりで、大人顔負けの能力を発揮することもある。そんなR君はいつも「S兄遊ぼ!」「今日○○できる?」と遊びに誘ってきて、一緒にゲームやカードゲームをしている。R君だけに限らず、日々を一緒に過ごすことで子どもたちの成長を直に感じることのできるこの仕事はとても素敵だなあとしみじみ思う日々。
Episode 141 I.T、Y.T(職員・男性・2023年4月・5月)
早朝や日中、園庭の掃除や草刈りに汗を流して頑張っているのを何度も見かけた。自分の担当棟だけでなく、園全体のために自分の時間を割いて、献身的に働いて下さる姿勢に脱帽する。
Episode142 多様化している普段の生活(2023年5月)
子どもたちが生活する各棟には、いろいろな問題、課題等がある。時代の変化により生活のあり方が多様化している今、新たな課題も常に生まれている。また解決に向けて動く職員や関わる人たちも多い。一人の力では出来ないこと、またいろいろ皆で考えてもすぐには解決出来ず、時間が掛かることも多い。頭を抱えたまま、なかなか「楽」にはならない。思わず「ぢっと手を見る」。
Episode 143 G.K(15才・男児・2023年6月3日)
小学校1年生から6年生になるまで、ここに入所して生活し、家庭復帰を果たしたが、この春再びここに入所して戻ってきた。以前いたときの彼の様子は、多動で落ち着きが無く、エネルギッシュな面が強く、トラブルや、注意されることも多い子どもであった。そんな彼も今は中3になっており、ここを退所したときは私より小さかったのが、今は見上げるまでに大きくなり、やんちゃな一面はやはり未だ残っている。今年の感謝の集いでは司会進行を引き受けてしてくれた。落ち着き払って会を進め、最後の感謝のあいさつも、何も見ることなしに自分の素直な言葉で伝えることが出来、大きな成長を感じさせられた。それはこれまでに様々なことを乗り越えてきて培った、彼自身の努力のたまものである。かつて私の中では「心配の塊」であった彼は、今は「希望の塊」へと変わった。
Episode 145 Y.Y(中2・女児・2023年2月14日)
バレンタインデーにYさんから手作りチョコをもらった。ビスケットの入ったチョコでとても美味しかった。チョコと一緒にメッセージカードがあった。日頃の感謝と私に対する健康の気遣いの言葉が書かれてあった。普段はそんなそぶりは見せないのに、心の中は優しさと他の人への思いやり気持ちが確かに成長しており、シャイなその姿に感動した。
Episode 146 U.G(5歳・女児・2019年5月)
人は愛し、愛され、護り、護られ、大切にし、大切にされて豊かになっていくものである。
日々私も子どもたちの愛を感じながら生活している。たまにそれが形となって渡されることもあり、それらは私の宝となっている。ここに紹介するのはそのうちの一つ。当時5歳のとても恥ずかしがり屋の女の子からのもの。ある日のこと、いきなり「はい!」と私の手に小さく畳んだ紙片を握らせてその子は静かに去って行った。なんだろうと手中の紙片を広げると★と♥に囲まれた私の姿が描かれていた。頭の特徴をよくとらえて描かれており、言葉はないが、その子からの温かい愛があふれんばかりに伝わってきた。
「子どもたちから愛される人になりなさい」とドン・ボスコは弟子たちに教えている。
今日も子どもたちの愛に応えて過ごしていこう。愛のグッドサイクルが回転するように。
Episode 147 Y.M(職員・男性・2023年 春)
春先に改めて洋服ダンスの中の整理をしたときのこと。奥にあったケースの中に、スーツに付着した埃を取る「クリーンブラシ」があるのが見つかった。小学校を卒業し、北九州から川崎へ、家を離れて生活することになった私に、母が準備して持たせてくれた物の一つである。そこには今は亡き母が、私の名前をマジックで書いた文字がそのまま残っていた。それを握って見つめ、どんな思いで母はこれを買い、どんな気持ちで私の名前を書いていたのかを想像してみた。あの時にはわからず、気づかなかった母の愛情が、今になってじわじわと滲むように伝わってきた。いつも身だしなみには気をつけるようにという思いもあったのだろう。でも、何よりも私のことを大事に思っていてくれたことがわかる一品で、母の愛をしっかりと感じた。
思わず私は、関わってきた子どもたちに、どれだけ愛を感じさせるものを与えて来られただろうか、今関わっている子どもたちにどれだけ与えているだろうか、と振り返った。母が私にしてくれたように、子どもたちには、愛を感じられる関わりをたくさんしていきたいと改めて思った。たとえそれが、後になって気づいてもらうことになるにしても。
Episode 148 K.I(小4・男児・2023年)
日頃からよくトラブルがあるK君。自分が休みに入る前の日には必ず「トラブルがないように頑張るんよ!」と声をかけて帰るが、出勤すればトラブルが起こっていることなんて日常茶飯事だ。もう、分かっている。トラブルがあった時や落ち着かない時には何度も何度も繰り返し振り返りをし、口うるさく話をしている。落ち着きがなく、状態が悪い時の話し方や態度に正直イラっとすることも多々あり、強めに注意する時もあるが、なんだかんだ7年間共に過ごしているとK君のやりたいことや伝えたいことが分かるのだ。振り返りをした内容もK君の中では分かっていても、衝動的に行動してしまうためどうしても注意されてしまう。「本当は頑張れるのにもったいないなー」と思うがこれが発達特性であり、生まれ持った性格であるため理解しながら向き合わないといけない。色々と試行錯誤しながら関わってきたが年を重ねるごとに落ち着きのなさがエスカレートしているようにも思える。だが、ここまで一緒にいたからこそどうにかしてあげたい自分のプライドと気持ちがあるため諦めたくはない。いくら自分が頑張っても意味がなく、K君自身も頑張らないといけない。共に切磋琢磨して乗り越えられたらと思う。
ps 誰よりもあなたの事を1番考えているので、そろそろ頼むからK兄を安心させてください。☺
Episode 149 K.S(小2・女児・2023年)
私が朝食を作ろうとすると「私もお手伝いしたい」と言って椅子を持って来てお皿に配膳してくれているKちゃん。最初の頃は台所は危ないので「ダメよ」と言ってばかりで、本人の手伝いたいという気持ちに寄り添えずにいた。
まずは簡単な作業からお願いしてみる事に。すごく上手に綺麗に一人一人の事を考えながら配膳していて、よく職員のやり方を見ているなと感心した。
先日、「おもちゃのお皿やコップを綺麗にする」と言って洗面所でハンドソープを付けて、一生懸命嬉しそうに洗っている姿を見て思った事は、ハンドソープがもったいないではなく、職員の真似をして洗い物に励んでいるんだという事に気がついた。
ピカピカになっていくおもちゃの食器たちを見て「ほらピカピカよ。キレイ。」ととても喜んでいるので、私は「私が拭くね」と言い、洗ったお皿やコップを拭いていった。そこで手伝う喜びを感じる事が出来、心が温かくなり一緒に幸せな気持ちになった。
お手伝いをするっていうことは、大切な信頼関係から成り立つんだなと感じる事が出来た。
Episode 150 職員雑感(2023年1月11日)
大分中央児童相談所で行わる「連絡会」に出席した。疲労の蓄積もあって帰りの運転中には眠ることが無いよう、好きなグミをコンビニに立ち寄って購入した。弾力がクセになるTOUGH GUMMY(タフグミ)、酸味が強く、眠気覚ましにもってこいのキウイ味。さて食べだしたら止まらない。丁度おやつ時ということもあって、一袋があっという間になくなった。もうちょっと欲しいと思ったが、それでもおかげで目が冴えて無事に聖ヨゼフ寮に帰り着いた。
事務所に入ると、入口には一日のちょっとしたご褒美としてもらえるグミを求めて子どもたちが数名集まっていた。好きなグミを一粒選んで受け取り「ありがとう!」といって笑顔で出ていく子どもたち。たった一粒のグミだけど、喜んでお礼を言う子どもたちの背中を見送りながら、一袋を食べつくしてきた私は、ちょっと気恥ずかしいというか、申し訳ないというか、なんかちっぽけな自分を感じていた。
Episode 151 K.S(小2・女児・2023年)
彼女と関わりもうすぐで2年を迎える。小学1年生、職員1年生とお互い新しいスタートを一緒に切り出したような児童だなと感じている。最初はお試し行動期間だったのか挑発をしてきたりと、こちらも負の感情が湧き出てきたりして、大人げない一面を見せてしまう事もあった。それでも日々関わり続けると彼女の素敵な部分がたくさん見えてきた。大人が一人勤務の時は「今日は一人やけ大変そう。お手伝いしたい」と言ってくれたり、大人が思う以上に子どもが目にしているもの、感じているものは膨大なものだと思う。負の感情を持ってしまうと、つい子どもであっても嫌なところしか目に付かず、子どもが持つ素敵な魅力に目を向けれなくなってしまう。些細な魅力にも気付けるような職員になっていきたいと、日々奮闘をしようと心に決めた。
Episode 152 A.K(小6・女児・2023年 クリスマス)
クリスマスが近づきAちゃんが「うちね毎年お寿司は卵しか食べれんけ兄二人にお寿司交換してもらってる。今年も兄たちと一緒に食べれるよね?」と話をしていた。クリスマス間近で兄たちのコロナ陽性が判明し一緒に食べられなくなる。兄の一人が「Aクリスマス一人やん大丈夫かな」と心配する様子があった。やはり大事な妹のことが気になるんだなと感じた。兄妹の絆は本当に財産であると思う。Aちゃんの知らないところで兄たちに守られていることが沢山あるということをいつか気づく時が来るのかな。これからも兄たちに守られながら素敵な人生を歩んでいけるように願っているよ。
Episode 153 U.G(小6・女児・2023年12月)
5月に退所し親との生活を送っていたUさん。退所後、普通の生活を送っていたと思っていたが、親との生活も大変だったようで再度入所が決まって私も気にかけていた。
12月棟で1泊旅行に行った際、キーホルダーのお土産を買って帰ってくれた、自分のお小遣いかの中から私の大好きなパンダのキャラクターを選んでくれた!お土産をくれたという事より私の好きな物を覚えてくれているという気遣いがとてもうれしく泣いてしまった。
小学生で一生付き合って行かなければならない大病を抱えるUさんを今後も見守っていきたいと思った。
Episode 154 K.G(中3・男児・2023年)
中学校3年生で受験生のK君。学校では素行があまりよくなく、先生達を悩ますことの方が多いかもしれないが、、、、普段は優しくて、目標があればそれに向かって頑張ることができる思春期真っ只中のK君。
年末のある日、ごみ置き場のゴミ(不燃物ゴミなど)が溜まっていて、それをゴミ処理施設に運ぶ必要があり、軽トラにゴミを積む作業のお手伝いの誘いをした時に、快くOKの返事をしてくれた。その後、K君から「I兄、何時からする?」と連絡(内線)があり、<何か予定でも入ったかな?>と尋ねると「(ユニットの皆で)昼から釣りに行く話になっている」とのことであった。「釣りの方を優先しても大丈夫よ」と伝えると「それは悪い。決めた(約束した)ことだから」と言い、同じユニットの子ども達と一緒にゴミを積む作業を手伝ってくれた。大人でもやりたいことを優先してしまうことがあるのに、K君は、迷うことなくお手伝いを優先してくれたのだ。
当たり前だと思われることが当たり前ではなくなっているこのご時世、約束したことをきっちりと守って実行してくれたK君の姿はとても眩しくて格好良かった。
Episode 155 職員K(女性・2023年)
幼児、小学生らは特に食事中にお行儀が悪かったり、食べ物に不満があったりして、わがままを通そうとすることがよくあるが、Kさんはその都度注意したり、嫌いなものでも食べる努力をするようにとしっかりと対応している。一見厳しいように見えるが、後で子どもたち一人一人をしっかりとフォローしている。
注意される子どもたちも、そんなKさんに対して徐々に愛着を感じており、信頼関係が着実に築かれていっている。
Episode 156 H.R(退園生・男性・2023年10月)
毎年、「誕生日やろ。おめでとう!」と電話をくれるR君。入所した期間は、約1ヶ月程だったが、縁があり、今も連絡を取り合っている。想像もできない程、複雑な家庭環境の中で、生活も仕事も一生懸命頑張っているにも関わらず、苦労が絶えることは無く、心配も尽きない。自分のことでも精一杯だろうに、どんな状況でも「おめでとう」を言ってくれる。「本当にありがとう。“あなたに幸せが訪れますように”離れてもずっと、祈っているよ。」
Episode 157 N.H(17歳・女児・2023年後半)
この子は4歳で入所した。その時は二語文でコミュニケーションが苦手な子だった。今ではよく好きなものについて話をしている。2023年の夏以降、雑談中や他児が眠りに行った夜間に出てきて、「昔は~」「小さいときは~」と幼少期のことをよく話している。これまで彼女とはかなり言い合いをしたり喧嘩をしているが、優しさを感じることも多かった。
彼女はもうすぐ退所し移動することとなる。不安が大きく揺れがみられるが、笑顔も見られ、新しい生活に希望も持っている。私にできることは、いつもと変わらない様子で声をかけ、これからの生活が楽しくなるように不安を少しでも減らすこと。今までもかなり我慢をして大変な思いをしてきた彼女が、これからも小さな幸せを感じて生きていけますように。
Episode 158 N.H(18歳・女性・2024年)
私が入職した時、小学4年生だったNちゃん。新人で右も左も分からない私と真っ先に仲良くなってくれたのもNちゃんだった。その後間もなく担当として受け持つことになり、飛び跳ねて喜んでくれたNちゃん。月日が経ち、思春期が訪れて衝突することが多くなった。衝突が絶えない中、私は棟を移動することになりNちゃんとの関わりも自然と減っていくだろうと思っていた。しかし、棟を離れてから顔を合わせる度にニコニコして話しかけてくれたり、私の誕生日に必ずプレゼントを持って祝いに来てくれたり等、関係性が以前よりも増したように感じていた。
そんなNちゃんが退所することが決まった。とても寂しい気持ちでいっぱいだが、Nちゃんがヨゼフに来たときに笑顔で迎えてあげられるような暖かな存在となってあげたい。Nちゃん、長い間本当にありがとう。あなたには感謝しきれません。
Episode 159 R.N(退園生・16歳・男児 2020.10~2022.10 入所 2023年12月)
12月のある日、昼食を食べ終えた頃ひょっこり顔を見せたN君。ニッコリ笑顔は以前に比べるとあまりに痩せており、自宅での苦労がしのばれた。N君によると、前より10kg以上瘦せたとのこと。数カ月前、単車で事故を起こし足首の骨折により入院していたという。一晩痛みを我慢し翌日病院に行き、直ぐに手術し入院となった。しばらく入院し、退院後は前の会社に復帰しヨゼフ近くの建設現場で働くこととなり、昼休み顔を見せたとのこと。
ここでの生活を振り返り、充分なことができず「ゴメンな」と伝えると、「そんなことはないよ」と笑顔で答えてくれた。
小学校5年の時、自宅から離れ県内の児童養護施設で生活することになった。数年が経過したが上級生との間で不適応が続き、中2でヨゼフ寮に来ることになった、高1途中で自宅復帰するまでの期間、ヨゼフ内でも怒りが止められない事が何度もあり、児相CWの手を借りることも多くあった。
安全基地を目指すヨゼフで生活し、安心感が生まれてくると何故かその安心を壊そうとする行動が見え、自分自身の生き方を狭めてしまっていた。なぜか繰り返してしまうのである。
わかっているけど止められない。思考ではわかっている、しかし、感情の部分で整理できていない強い怒りが心の底にあるのではないかと考えたものだ。
さて、我々はその強い怒りに対して、どう対処すべきか。きっとそれは、思考ではない感情の部分への働きかけが求められているのだろう。「よく頑張ったね」「大変だったね」「怖かったね」それを経験してきた君をここのみんなは応援しているよと。心に伝えながら、上手な怒りへの対処法を一緒に学んでいきたいものだ。何故なら我々は、評価する存在ではなく、守る存在であるし、そうでなければならないと考えている。
Episode 160 K.G(中3・男児・2023年1月31日)
社会福祉士の資格取得を目指して実習に来られていた方が、本日その最終日を迎えた。朝礼時に彼から一言の挨拶をお願いした。わずか8日間の実習であったがこの聖ヨゼフ寮に温かく受け入れてもらえたことに感謝する旨の話がされた。中でも、ドン・ボスコデーのお祝い行事で全体の集合写真を撮る時となって、彼は集団の中で真ん中あたりが立ち位置になってしまったようで、こんな真ん中で写っていいものか、部外者の自分は端っこに立つべきではないか、そもそも自分が写っていいものなのかと戸惑ってしまい、そばにいたK君に自分は場所を変わった方がいいことを確認すると、「もう俺たちの仲間やからいいやん」と言われたとのこと。その温かな心がうれしかったと話す。
自分も温かい心で人に接しながら「〇〇(自分の名前)さんにお世話になって良かった」と言われる社会福祉士を目指して頑張っていきたいと挨拶を締めくくっていた。
Episode 161 K.W.(11歳・女児・2024年1月)
いつも明るく大きな声で話したりしている小5のKちゃん。幼児さんのkちゃんと揉めることが多く、幼児kちゃんに言われる「嫌い」「一緒に遊ばない」という言葉をとても嫌がっている。
ある日、いつものように幼児kちゃんに「嫌い」「一緒に遊ばない」と言われ、Kちゃんはとても怒っていた。そんな時、職員が見ていない間に幼児kちゃんの足を蹴って、幼児kちゃんは大泣きしていた。先日、暴力はいけないという話を園長先生に聞いたばかりだが、やってしまった。私はKちゃんを注意した。どんな理由があっても、手を挙げてはいけないと。すると泣きながら鉛筆を投げて2階に走って行き、大きな声で何かを言っている。泣いている幼児kちゃんを抱いて下にいたので、降りて来てきちんと話をしようと伝えるが、中々降りて来ない。少し離れているが、Kちゃんだけが悪いと言っているわけではない、もちろん幼児kちゃんも嫌な事を言うのがいけないが、手を出してしまうとKちゃんが悪くなってしまう事、そうなると守れるものも守れなくなることを伝えた。逆に幼児kちゃんがKちゃんに同じことをしたとして、それを許せる?と聞くと黙っている。私は伝えた。今回の件だけを我慢しているわけではなく、家から離れて暮らす事自体にストレスを感じているKちゃんの事もよく分かっていると。それ以外にも、棟内や学校で嫌な事があり、我慢をしなければならない場面があることも分かっていると。Kちゃんがそうやって、泣きながら私に気持ちをぶつける事は何も悪くなく、たまには吐き出して、泣いた方がすっきりして良い事等を伝えた。すると離れていたKちゃんは静かに近付いて来て、私の足にしがみつき、抱き着いて泣いていた。しばらく背中をさすりながら段々と落ち着き、その後は笑って過ごしていた。
私はいつも思う。子ども達は強いなぁと。子ども達の、色々な事があっても、ぶつかり合ったり、乗り越えたりしながら成長していく姿を見て、いつも感心させられている。側で見ていてたくさんの大切なものをもらっている。寄り添うというアシステンツァの心を大切に、これからも子ども達と関わっていきたい。
Episode 162 M棟女児(中高生女児・2024年1月)
朝8時半、女子棟のサポートに入った。これから外出する職員より引継ぎを受けたところ、まだ3人が起床していないとのこと。
先ずはリビングに掃除機をかけて生活音を出してみた。9時を過ぎた頃、まだ起きてこないので起床を促すべく3人の部屋に行き扉をノックして声を掛けてみた。「新しい朝が来てますよ~!希望の朝ですよ~。喜びに胸を開き青空仰ぎませんか?」一人目反応なし。二人目も反応なし。3人目は2階の部屋で同じく声を掛けると「もう起きちょー」と返事があった。1階に戻ると、一人目がすがすがしく部屋から出てきていた。
声掛けで起きたかどうかはわからない。それは別として、「希望の朝」を持てること、持たせることはとても大事なことだとふと思った。
Episode 163 T.K(中1・男児・2023年12月)
こだわりの強さについて耳にすることが多いTさん。ある日、ドッチボールをしていた際、なかなかボールを取ることが出来ない子に「どうぞ。」「投げていいよ。」と、度々、ボール譲る姿を見て心が温かくなった。また、「おかえり。」と声をかけると、はにかんで「ただいま。」と返答してくれ、別の部屋に入室する時は「失礼します。」と、必ず、笑顔で声をかけてくれる。今後、Tさんと時間を過ごす中で、独特なこだわりを目の当たりにすることもあるかもしれない。彼の個性的なあり方を認め、受け入れ、直接的に支援しているのが棟の職員の方々だとしたら、少し離れた場所にいる私は、彼のさり気ない行動が社会に出た時(地域の子どもたちと一緒に過ごす際など)、他者にどの様な良い影響を与えているか、彼が理解できるように伝えること、彼のおかげで、幸せになった子の気持ちの代弁をし、幸せ(良い感情)の共有を行うこと、その中で生まれるグッドサイクルを実感してもらうことなのかなと感じた。
彼が、日々の生活を頑張っている様に、私もがんばっていかなければならない。
Episode 164 K.I(3歳・女児・2024年1月)
兄弟交流のため、大分へ。本当は、弟も一緒に行くはずだったが体調不良のため欠席となった。
Kちゃんはとても楽しかった様子で帰園。事務所へ『ただいま』の挨拶をしてくれた。手には職員に買ってもらったコーラを持っていた。半分飲みかけたコーラを見せてくれた。
私:Kちゃんってコーラ好きなんだね。
K:これはRくんのためにえらんだの。
私:やさしいね。Rくんも喜ぶよ。
K:うん。コップに入れてあげるんだー💓
と話した。
3歳の幼い子が自分だけではなく、相手のことを思いやれる優しさに感動した。
Episode 165 N.TとS.Y(退園生 当時17~18歳・女児)
年末年始になるといつも思い出すことがある。私が入職して1、2年。年末年始に、棟に残った女児らと一緒に過ごしていた。当時の高校生が「いつもは職員がしてるから、年始は任せて」と話して、夜の作業をたくさん手伝ってくれた。いつもは無断で外泊をするようなちょっとヤンチャな彼女は、子どもと大人、両方のことを考えて行動できる子どもだった。 その次の年は、私が激しく咳き込むとすぐに水を持って来てくれたことを覚えている。
今はどこで頑張っているのか私にはわからない。でも、人のために動くことのできる彼女たちは、今もどこかで頑張っていると思う。
Episode 166 K.W(小5・女児・2023年10月)
小学生のKちゃんは自分に対して「きもい。嫌い。なんで今日も出勤なん。帰っていいよ」などの暴言を毎日のように繰り返していた。そんなKちゃんからの言葉に気持ちが落ち込みながらも、外遊びは毎日のように全力で遊んでいた。そんなある日、外部機関との面談の中でKちゃんが「ヨゼフの好きな時間は?」の質問に対して「○○兄(自分)と遊んでいるとき」と答えたと面談者から後で聞かされた。日常生活の中で距離を取ってしまったこともあったが、アシツテンツァの精神でこれからも自分の強みを活かして子どもと関わっていきたい。
Episode 167 職員K(女性・2023年11月)
Kさんが職員になってまだ日が浅い頃に気づいたこと。
子どもたちのお遊び部屋は沢山のおもちゃ類があるが、遊んだ後はクロゼットやおもちゃ箱にとにかく、放り込んで片付けておけばよしといった感じで、ぬいぐるみも、ままごと道具もその他のオモチャも、空いているスペースにごちゃまぜにして仕舞う状態だった。そのうち、時間があるときにきちんと片付けなければと思いながら日にちが経ってしまっていたが、ある時気が付くと、Kさんの手によって、それぞれのオモチャが、種類ごとに分類されて、それぞれが整然と片付けられていた。Kさんの整理整頓の能力に感心させられた。
これだけきちんと片付いていると、遊んだ後の子どもたちも、この状態を〝お片付けのお手本″としている様子が見られている。
Episode 168 職員雑感(2023年1月31日)
家族と一緒に生活できなくなってしまった子どもたち。様々な課題を抱えていたり、複雑な家族背景を担っていたりしながら児童養護施設で生活している子どもたち。本来、家族と一緒に共に住むという当たり前の生活が出来ず、当たり前でない施設での生活を当たり前のように頑張って生活している子どもたちの姿は、ごく普通の家庭生活をして育った私にとっては尊敬に値することである。この尊敬の念をもって児童養護施設で暮らす子どもたちと関わることを、見落としたり、忘れたりしないよう自分に常々言い聞かせていきたい。たとえ子どもたちが何度過ちを繰り返したとしても、たとえ怒りをぶちまけて大暴れをしたとしても、謙遜で、強く、たくましい心をもって子どもたちに関わっていけるように。
(創立者ドン・ボスコの祝日に当たって)
Episode 169 K.T(中2・男児・2024年4月~)
出会ってから毎年濃い思い出を更新し続けてくれてありがとう。
理不尽にキレられ、石を投げられ、職員失格と言われたり…。
君のおかげで年々、ドン・ボスコに近づけている気がするよ…。
いろんな意味でありがとう…。
Episode 170 S.S(6歳・男児・2024年5月)
少しずつ言葉が出てくるようになったSくん。つくし園の訓練もよく頑張っている。
用事があり本児のいるユニットへ。用事が済み、帰ろうと土手を登っていると『バイバイ』と子ども部屋の網戸の方から声がする。振り返ると本児が網戸越しから手を振っている。私も『バイバイ』と手を振り返すとニコニコしている。本児からはっきりとした言葉で話しかけられたのは初めてだった。成長を感じたのと、その嬉しさで私自身も笑顔になった。これからもSくんのペースで言葉が出るようになるといいなあ。陰ながら応援しているよ。
Episode 171 S.S(6歳・男児・2024年4月)
笑顔が可愛らしいSちゃん。一緒のユニットで生活をしているお兄ちゃん達と活発によく遊んでいる姿を目にする。そんなSちゃん‼最近は野球にはまっている。バット、グローブ、ボールを手に持ち、カッコいい帽子も被り、グラウンドに向かう姿は、まさに一流選手そのものである。
振る舞いや形だけではなく、スイング、投球動作などどれをとってもなかなか筋が良い。
「将来は日本を代表する、、、いや世界を代表する選手になるかな~ もしなったらサイン頂戴ね」と今度S君に伝えてみようと思う。
少し話が飛躍し過ぎている部分もあるかもしれないが、それぐらい子ども達に対して大きな可能性を信じて関わることで子ども達の自尊心や自立心を育てることにも繋がっていくと私は思う。
Episode 172 K.I(年中・女児・2024年4月)
4月から、この聖ヨゼフ寮で働き始めた。以前も保育関係の仕事をしていたこともあり、新たな環境で子ども達に携われるのを楽しみにしていた。しかし働き始めて1週間。Kちゃんの試し行動にとても悩まされた。お風呂に入れるのも寝る時も何をするにも「きらい。あっちいって。○○姉いや」とたくさん言われた。大人の私でも子どものストレートな言葉に傷つかないほど強くない。何がダメだったのか、どういう声掛けが必要だったのかと毎日帰りの車の中で反省会をした。
そんなある日Kちゃんがふと「○○姉ちょっとだけ大好きよ」と言ってくれた。新人の私をちょっとだけ受け入れ、ちょっとだけ好きになってくれたKちゃんに私もちょっとだけ嬉しくなった。悩みも少しだけ吹っ飛んだ気がした。これからきっとこの子とは長く濃い時間を共に過ごすだろう。その時は‘’ちょっと‘’ではなく‘’たくさん‘’大好きよに変わっていると嬉しいな。
Episode 173 K.S(小3・女児・2024年5月)
聖ヨゼフ寮に勤めて始めて半年が過ぎ、Kちゃんと目が合うと笑顔になることも増え、良い関係が築けている様に感じられる日々。いつもKちゃんは特定の職員への大好きの手紙やプレセント頻繁にあげていた。その様子を羨ましくもあり、いつか私ももらえる時が来るのだろうかと思っていたが、手作りの物をもらう機会は何度かあり、先日折り紙でいつものように工作していた時のこと、私の名前を呼ばれ「(折り紙を)見てー」と鏡越しに言われた。「可愛いね」と答えるとその子は指を差している部分があり、よく見ていると私の名前が書いてあり、「○○姉大好きだよ。○○より」と書いていた。嬉し過ぎて泣きそうになり「ありがとう」と笑顔でハグをした。とても嬉しかった。これからも子どもたちのために職員として精進していきたいと思った。
Episode 174 K.S(小3・女児・2024年5月)
彼女が年下の子とトラブルになるのは、良くあることで、お互いが悪いので仕方がないと思って対応していた。口では「嫌い!あっち行って‼」とよく言っていたので、年下の子が苛立ちの対象なのかと思っていた。
そんなある日の朝、ふと気づくと年下の子の髪の毛をブラシで梳かし、ゴムで髪の毛を結んであげているのを見た。「あれ?今日はどうしたのかしら?」と見ていると、年下の子も嬉しそうにしており、私が見ていることに気が付くと、はにかむ様に顔を背けて登校していった。またある日は、年下の子を自分の膝に乗せてテレビを一緒に見ていたり、一緒におままごとをしていた。
彼女の心の成長が嬉しくもあり、私の心もほっこりと和んだ一場面だった。
Episode 175 S.K(中3・男児・2024年3月)
棟のキッチンで調理をしている時に、「いつもキッチンの掃除をしてから、夕食に間に合うように料理が出来てすごいね!」とS君が声を掛けてくれた。
人の仕事の流れを、つぶさに見ていて、ちゃんとわかるように成長していることに驚かされ、嬉しくなった。
Episode 176 S.S(6歳・男児・2024年5月)
そろそろSくんの誕生日。なにが食べたいかなあと思いながら、いつもは担当の職員さんを交えて聞いたりしていたが、今年はどうやって聞こうかなと考えていて、みんなが好きそうな食べ物のイラストを分かりやすく表にして聞いてみようと思った。Sくんが保育園から帰ってきたところで、「ねえねえSくん、もうすぐおたんじょうびだね。このなかですきなたべものある?」と聞くと、迷わず「ん!」と指さした。「グラタンがすきなの?」「うん!」と答えてくれた。Sくんの成長と笑顔が見れてとても嬉しかった。
Episode 177 Laura House(思春期・女児・2024年4月~)
今年度から、幼児さんがいる棟から思春期真っ只中の女子棟へ異動となった。環境も全く違う場所での再スタートだ。3年目を迎える年だが関係性を築くのも1からスタート、思春期の子どもと向き合うのも初めて、年齢が近い分だけどうしても距離感を掴むのが難しいお年頃の女の子たち…。
そんな中でも彼女たちは学校の話をしてくれたり、和気あいあいと皆で話す空間に「楽しいな」と感じる瞬間が沢山ある。
今年は関わり方含め、一から修行する1年になりそうだ。
Episode 178 K.S(8歳・女児・2024年 春)
「ギブミーファイブ! ハイタッチ! ダブルタッチ!!」
主に幼児さんを対象にして行っている挨拶。スキンシップをしながらコミュニケーションを取り、尚且つ信頼関係も築ける挨拶。たいていの子どもたちは、ニコニコしながら自分の呼びかけに応じて、タッチをしながら挨拶をかえしてくれる。でもKちゃんは別だった。幼くして母親を亡くし、自分のことより弟のことを心配して、まだどこか心のゆとりが持てないところがあるのか、何故か「ギブミーファイブ」には応じてこない。素直に心が開けないものを抱えているのかもと配慮して、彼女には無理にアプローチはしてなかった。
彼女が小学校3年生になった春。他の幼児さんたちと「ギブミーファイブ」をしていたら、Kちゃんも並んできて、ニコニコ顔でタッチとハグをしてくれた。その後も、晩の祈りが終わったあとはKちゃん方から笑顔で「タッチしよう!」とやってくるようになった。素直に心を開いて甘えられるようになったKちゃんの成長が感じられ嬉しくなった。ハグした時に背中をトントンしてくれるKちゃんの優しい手に癒やされている自分もいた。
Episode 179 調理員としての雑感(2024年4月)
ある日のこと、私が炊事場で調理をしていると、ある職員さんが棟の子どもにおやつを作っているところを目撃した。自分はまだ、おかずを時間内に作ることが出来ていないため、手際よく十分に調理できるようになったら、私も各棟の子どもたちの為におやつを作って喜ばせてあげたいと思った。
Episode 180 K.S(中3・男児・2024年3月)
お別れ会のお出かけの日、「今日は、子どもと最高の思い出を作ろう!」と意気込んで出発したものの、予想外のトラブルに見舞われ、バスの中で電話対応に追われる私の様子を見て、Sくんが「大変やなぁ。」と、声をかけてくれた。声の温かさ、そして、Sくんの思いやりに満ちた眼差しに、それまでのネガティブな気持ちが一気に吹き飛んだ。Sくん、あの時は、本当にありがとう。
Episode 181 O.R(小5・女児・2024年5月)
「ただいまー。」と、いつも明るい声で挨拶をしてくれるRちゃん。Rちゃんの元気な様子に、いつも元気を分けてもらっている。
昨日は、ちょっと話す時間があったので、「この前の人形劇の時の“私が遊んであげる!”って言葉、良かったよ!」「そんなRちゃんの優しさとか明るさとかに、救われている子がいると思うよ。」「ステキ♡」と、伝えると、珍しく「そうかな?」とちょっと不安げな様子。「私は、そう思うよ。」と伝えると、嬉しそうに、その後、私の車が遠ざかるまで、ずっと「ばいばーい。」と最高の笑顔で見送り続けてくれた。子どもの嬉しそうな顔や、子どもたちとの幸せなひと時があると、幸せな気持ちでいっぱいになる。幸せな気持ちは、いつも子どもたちが運んできてくれる。この仕事だからこそ感じることが出来る喜びを、見落とすことなく、これからも大事にしていきたい。1日の終わりがRちゃんの笑顔で締めくくられた、最高に幸せな1日だった。
Episode 182 幼児さん(2歳男児、4歳女児、5歳男児・2024年)
幼児さんが大人に抱っこされている時は、完全に安心して幸せそうなお顔をしている。乳幼児期の抱っこから得られるものは、子どものこれからに大きく関係している。「愛着」「安心感」「感じる力」「幸福感」「ホルモンの分泌」「脳の発達」などなど。
大変な時に無理して抱っこをする必要はない。
抱っこが出来る時には、たくさん抱っこをして子どものこれからの成長につながりますように。
Episode 183 S.K(中3・男児・2024年3月27日)
私が初めて聖ヨゼフ寮の行事に参加した時のこと。まだバイトとしてお手伝いをしていた時に「お別れ会」の行事で水族館に同行させて頂いた。その時一緒に行動したのがS.K君だった。S君はとても礼儀正しく、話していてもとても楽しい子だった。その日は、私自身が緊張していたため、少ししかコミュニケーションが取れなかった。正式に調理員として入職してからは、彼とは会うたびに学校のことや趣味のことなどの話題で交流することが増えている。子どもたちとは、もっともっと仲良くなりたいと思う今日この頃である。
Episode 184 N.T(成人・男・2024年3月)
ヨゼフを巣立ち2年が過ぎたN君。様々な困難、苦難を乗り越え、なんとか就労にありつけたが、厳しい社会人生活に適応出来ず、安定した生活を送れない日々が続く。たくさんの関係機関がN君のために支援を続けているが仕事は安定せず、本人自身も辛さを感じていた。そんな悩みを聞いていると「今度、ヨゼフに連れて行って欲しい。園長やお世話になった職員と話しがしたい」との要望があった。ヨゼフに来ると園長を始めたくさんの職員と話しをし、今まで一緒に過ごしていた児童らと外遊びをした後、良い表情で言った。
「やっぱ俺はヨゼフで育って良かった」
大変な社会生活の中でも、少しずつ成長し、20歳を迎えたこの年に、N君は自分にケジメをつけ、目標を持ち、計画を立て、彼の中での前向きな人生の再スタートを切った。
これからもN君の成長に喜びと幸せを感じていきたい。
Episode 185 R・I & K・I (3 & 4歳・男児 & 女児・2024年)
私が出勤する時間帯は、保育園に通う子ども達の登園時間と重なることが多い。車に乗り込む前に笑顔で「おはようございます」と声かけをする。はじめははにかんでいた、R君もこの頃は「おはよう」と返事をしてくれる事が多くなっている。Kさんは「おはようございます」の声掛けに対して、全く聞こえない様子で無視して車の方へ歩いて行く。一緒に保育園へ送る職員からも「おはようございますは?」との声掛けをしてくれる。時々思い出したように返事が返ってきたり、自分からの挨拶も聞かれるが、ほとんどは、知らん振りである。
何故なんだろうと考えることがある。その答えは出ていないのだが、不適切な養育を受けた人達の中に素直な応答ができない人達がいるという。右と言えば左と言い左と言えば右と言う人達だ。素直さというのは、生きていく上ではとても大切な要素だと思っている。素直な人は他の人から好かれ、信頼も受ける人となれるのではないだろうか。好かれ、信頼される人の所に人が集まって来るのではなかろうか。
さて、Kさんにはこちらから一方的に笑顔での挨拶を続けていこう。いずれ、素直で好かれる女の子に育つことを夢見ながら、期待しながら。
Episode 186 S・S(6歳・男・夏)
保育園から帰ってきたら事務所で手を洗い、グミを食べることが習慣になっているS君。
その日は落ち着かずグミを食べた後も事務所のソファーで遊んで、なかなか棟に帰らなかった。
仕方なく少し強引に抱っこをした。暴れると思ったが、予想外にすぐ大人しくなり、笑顔になった。
年長さんになり、なかなか素直に甘えられないのかもしれない。抱っこができるときは、抱っこしてあげるのもいいのかもしれないと思った。
来た。また児童養護施設でしか味わえない経験があることに改めて気づくことの出来た瞬間だった。
Episode 187 R・I(3歳・男児・2024年9月)
来た時は2歳だったRくん。以前よりも伸び伸びと、子どもらしく元気に過ごしている。ある日、私が朝の着替えを終えて、部屋から出ると「〇〇ねぇきがえた?すごいねぇ」と満面の笑みで褒めてくれた。大人になって、そのようなことで褒められることはないが、嬉しい気持ちと、可愛いなぁという気持ちでいっぱいになったのと同時に、いつも自分たちが声掛けをしている言葉をかけてくれているのかと思うと、普段の声掛けの大切さを改めて感じた。子どもたちにもっと、前向きになれるような表情や、声掛けを自然と出来るようにしていきたいと思う。
Episode 188 保育園運動会(幼児・2024年9月14日)
子どもたちが毎日通っている保育園の運動会に行って来た。いろいろな競技に頑張る子どもたちの姿に感動した。またいつもと違う子どもたちの様子を見ることが出来て良かった。
私たち大人が思う以上に、子どもたちはしっかりと成長しているんだと実感することが出来た1日となった。
Episode 189 T・K(14歳・男児・2024年夏)
1学期の様子を見ていると、同じ棟で生活している小学生低学年の子や保育園児に対しての当たりが強く、何かある度ごとに小さい子に苦言を呈していた。しかし時間が経つにつれて、小さい子どもたちとも上手に遊んだりしてお世話が上手になっていった。
特に印象的だったのは、保育園児のS君と折り紙をしている時のこと。上手に折り紙を折ることが出来ないS君に対して、手取り足取り上手に丁寧に教えている姿を見て嬉しい気持ちになった。
この出来事を通じて、子どもたちが成長するとともに少しずつ大人になっていく過程を見る喜びを感じることが出来た。また児童養護施設でしか味わえない経験があることに改めて気づくことの出来た瞬間だった。
Episode 190 K・S(小3・女児・2024年8月)
Kちゃんとはいつもたくさん笑い、タッグを組んでは大人にドッキリをするなど、毎日楽しく過ごしている。そんな彼女が最近、遊んでほしい時に言う言葉がある。それは「遊ぼ~。だって○○姉のことが好きやも~ん」と。
子どもはよく分かっている。大人が喜んで着いていく言葉を…笑
そして、その言葉をもう1度聞きたくて、「えぇ?なんて~?」と聞き返す、私も悪い大人である・・・
Episode 191 T・K(13歳・男・2024年7月)
職員として現場で働いていると、いつも自分たちが子どもたちにしていることや伝えていることは、本当に正しいのか。自分の価値観を押し付けているだけになっていないかと考えることがある。「まぁ、いつもあーだこーだ言ってくる大人がいたらウザイとしか思わないよなあ、子どもの頃は自分も思ってたしなあ」と思うことが多々ある。「子どもともトラブルになりたくないし、楽しく過ごしたいし、あんま言いたくないなあ、でも職員として言わないといけないよなあ」という気持ちが強く、その月はトラブル対応も多く、ため息ばかりの日々が続いていた。
毎日トラブルが絶えないT君の対応には慣れてしまった自分がいて、呪文のように同じことを繰り返し伝え続ける日々に嫌気が差していた。しかし、T君から「S兄から言われたことは本当に全部正しいし、いつも自分のことを思って言ってくれてるんだって実感できるし、本当にありがたい。俺は変わらないといけない。」という言葉を貰った。その言葉を聞いたとき、曇っていた心が一気に晴れたような気持ちになった。
T君、みんな、ゴメン。これからもビシバシ伝えていくので覚悟しておいてね。😅
Episode 192 T・K(中2・男児・2024年9月)
調理員として働き始めて半年になろうとしている。最近では、厨房以外に棟の台所で食事を作る機会が増えてきた。そこでその棟で生活しているT君と少し話すことも増えてきた。最初の頃のT君は敬語で話してきていたが、ついこの間また彼と話をしていたら、敬語ではなく、他の職員さんらと話しているときと同じく親しい口調で話してくれて、自分との関係性が出来てきたことが感じられてとても嬉しかった。
退勤時間の時にT君と会ったときも、少し前まではお辞儀だけだったが、元気よく手を振って挨拶をしてくれた。子どもたちとは食事作りを通しての関わりだが、交流の機会も持ち、それを深めながら、皆が喜ぶ食事作りに励んでいきたいと思う。
Episode 193 S・0(9歳・男児・2024年7月5日)
登校中での会話。S君は「僕は生まれ変わったらゴリラになりたい!」と言い出した。それを聞いて笑う他児ら。私が「どうしてゴリラになりたいの?」と尋ねると。S君は笑顔で答えた。「知らないの?ゴリラって強くてとってもやさしいんだよ!だからゴリラになりたいの。」
強くてとってもやさしくなりたい。そんな彼の素敵な希望、夢が叶うことを祈った。
Episode 194 K・I(4歳・女児・2024年9月)
私の誕生日間近の時、最近は家族にもお祝いの歌を歌ってもらうことも無くなってきたこの頃。棟の子どもたちで遊んでいる時、ふとした遊びの中でままごとでパーティーごっこを開くと、「○○の誕生日、おめでとう~」とみんなで言ってくれ拍手をしてくれたり、また別の日には音の鳴る絵本でハッピーバースデーの曲を鳴らして、「○○おめでとう」と歌ってくれた。
家族のように温かい気持ちになり、とても嬉しくなった。
誕生日を覚えていてくれていること、何度もお祝いしてくれたこと。
本当に感動したよ。みんなありがとうね。
Episode 195 S姉弟 (小3女児、年長男児・2024年9月)
KちゃんとSちゃんが出会う時は、いつも「ぎゅー」と強めのハグをする。以前は照れ臭さからか、Sちゃんが乱暴に返す時もあった。会うたびにハグをし、照れ臭さが、日常に変わり、今では安心した表情でハグをしている。別々の棟で生活している二人がきょうだいの大切さを確認しあう大切な時間になっている。
Episode 196 K・Y(中1・男児・2024年9月)
私は女子棟に勤務しており、K君との関りは少ない。K君が入所してから、K君が話しかけてくることはあっても、今まで一度も「○○姉」と名前で呼ばれたことがなかった。ある日、K君と30分ほど雑談をしていた。その日も最後まで名前を言ってはくれなかった。しかし、その次の日、K君から「○○姉」と、初めて名前を呼んで話しかけてくれた。K君から少しは認めてもらえたのかなと思い嬉しくなった。
Episode 197 K・S(9歳・女児・2024年7月12日)
通学路の途中に、耶馬溪鉄道の駅舎跡地がある。そこにはかつて「大貞公園駅」があった様子で、今は大きな空き地となっており、数年前にはその一部に小児科の「あきもとクリニック」が開業され、今現在は子どもたちが大変お世話になっている。
夏休みが近づいた頃、登校中にこの空き地を横目に歩いていたときのこと。私は「トライアルみたいな24時間オープンの格安スーパーなんかがここに出来ると買い物に来やすくていいんだけどなぁ・・・」と考えていた。一緒に隣を歩いていたKちゃんに尋ねてみた。「Kちゃんだったらここに何が出来たらいいと思う?」と。Kちゃんはしばらく考えて「学校!」と答えた。遊び場でもなく、お菓子屋さんでもなく、学校!「そうだよね、小学校は遠いもんね。毎日が遠足みたいだよね。もっと近くにあると確かに助かるよね。」と彼女の素直で正直な思いに同意した。
私の出身小学校は自宅から歩いて7~8分の距離のところにあったので、登下校の苦労はなかった。毎日、文句も言わず、重いランドセルを背負って当たり前のように長時間あるいて登校している子どもたち。そんな苦労を受入れて頑張っている子どもたちに頭が下がる思いがした。
Episode 198 K・S(小3・女児・2024年7月)
字を書くのは好きだけど、苦手だったKちゃん。鏡文字を書いたりするなどもあり心配していたが、こつこつと書く練習を重ねて、なんと学校書写大会の硬筆部門で『銅賞』を取ることが出来た!
さらに絵画では、栄えある『髙山辰雄賞(銀賞)』にも表彰されていた。
「好きこそものの上手なれ」の通り、楽しんで字を書いたり、お絵描きをしているうちに才能が開花されたよう。
園長先生からも温かい励ましとお褒めの言葉を頂き、少々照れていた。
Kちゃん、よく頑張ったね。僕もKちゃんに見習ってこつこつ頑張ろっと!
Episode 199 SBIイングリッシュキャンプ(2024年8月5-7日 東京都・飯田橋)
全国の児童養護施設の子どもたちを対象にして行われている宿泊型英語研修。引率の職員さん達もそこにいて、連れてきた子どもたちの活動の様子を心配そうに見守る姿があった。また、子どもたちが頑張っている姿を目の当たりにしながら、自分のことのように嬉しそうに笑顔で見つめ、そんな子どもたちの姿が残るようにカメラのシャッターを切っていた。
子どもの成長を見守りつつ、子どものことを想う養育者の姿があり、子どもと関わる施設職員さん達の姿を客観的に観ていたら、とても素敵で貴い姿がここにあると気がついた。私も同じ仲間として常にそうでありたいと思った。児童養護施設の職員という勤め、この務めの素晴らしさ、貴さ、大切さに改めて気づかされた。
Episode 200 全児童(2025年1月)
今日は一年に一度のドン・ボスコデーの日。今年はクリスマス会が中止になりドン・ボスコデーの日にアカデミアが行われた。子どもたちと職員さんたちが一緒になって一生懸命作った作品やダンスに感動した。特性を持つ子どもたちが、自分の得意とする部分をみんなに披露する姿であったり、輝いている姿をみて勇気を沢山もらった。改めて、ここ聖ヨゼフ寮に就職することが出来て良かったと感じた。
Episode 201 S・K(中3・男児・2025年 1月 )
受験に合格したと嬉しそうに報告してきたS君。以前より、受験に合格したら特別大サービスのマッサージをプレゼントする約束していたため、その日にプレゼントした。マッサージをしながら会話をしていると、開始10分くらいで眠りについた。普段はあまり表に出さないが、中学生に受験の重圧、合格の安堵などから解放されたのだろう。
4月からは高校生。これからも頑張れ!! 本当におめでとう㊗
Episode 202 M.K (17歳・女児・2025年1月)
先日、高校生の女の子が「成績が上ったよ」と教えてくれた。よく勉強を遅くまでやっている姿を見ていたので「頑張ってたもんね」と言うと嬉しそうに「うん」と答えてくれた。子どもたちの成長を促すべく、背中を押す声掛けをする事も大切だが、同時に見守り、認める事の大切さにも改めて気づかされた。
沢山の行事や学校での体験、経験を通して育っていく子どもたちのお手伝いをこれからも少しでも出来ると良いなと思った。
Episode 203 R.I(幼児・男児・2024年10月)
私の首元に湿疹が出来ており、幼児さんの寝かしつけをする際には、赤みが増し少しヒリヒリしていた。一緒に横になっていたRくんが「大丈夫?早く治ってね。心配だから」と悲しそうに言い、ハグをしてくれた。優しさが身に染みた。ありがとう❤
Episode 204 尊敬する先輩職員方(2024年11月)
今回、はじめて高校生の子を担当した。不安が大きかったが、初めの印象と関わりが重要だと思った私は、色々な経験をしてきたであろう先輩方に「この場合はどうしたら良いのか」「話す時、少しでも安心できるように、どの位置にいるのが最適なのか」担当と聞いた日から、自分なりに準備した。やはり、はじめは俯き涙を流すだけだった子も、先輩方のアドバイスのおかげで、少しずつ慣れていき、今では元気いっぱい明るく過ごすことが出来ている。
ここ聖ヨゼフ寮は、色々な知識と人柄を持った先輩が多い。まだまだ新人職員気分が抜けない私ですが、たくさん相談し知識を盗んでいくので、覚悟していてください!!笑
Episode 205 S.S(6歳・男児・2025年1月)
来年度小学校に入学する予定のS君。言葉の発達に遅れはあるものの、彼なりにいつもジェスチャーを交えながら色々と伝えてくれる。そして、毎回僕と会った時の最初のやりとりは「ねんね?」と言い、頬の横に合わせた手を当てて寝るポーズをする。彼が僕に伝えたいことを言語化すると「今日は宿直勤務か?(笑)」
それを聞いて僕が「うん」と返事をすると「よっしゃー」と言い、「ちがうよ」と返事をすると「え~」と言い、少し悲しそうな表情を見せる。彼とのこんなやりとりもあと数か月だと思うと少し寂しくなる。
「カッコいい一年生になるんだぞS君!応援してるからな~」と、勤務最終日に言葉にしてS君に伝えたいと思う。
Episode 206 A.K&R.D (小2&小5・男児&女児・2025年冬)
今冬から、小学生らの登校支援をするようになった私。
不安いっぱいでいざ出発。最初は、子ども達の先頭になって登校していたが、通学路が分からず子ども達に教えてもらいながら歩いていると、徐々に子ども達に追い越されていく始末。その中、小2のAくん、小5のRさんは、私の歩幅に合わせて一緒に歩いてくれている。小2のAくんは帰省した時の話や職員と外出した話など色々話してくれた。
数ヶ月たった今もこのパターンは変わらず、最後尾を歩く私の歩調にいつも2人は合わせて登校をしてくれているが、むしろ私の方が支援されているようで、嬉しくもあり複雑な気分がする登校支援である。
Episode 207 R.K & K.G(中2 & 16歳・男児・2025年1月)
雪が沢山降っていたある日の出来事。私がボスコ棟で部屋の掃除をしていると、R君とK君が「せな兄休憩して一緒にコーラ飲も!!」と言ってくれた。そして休憩が終った後、「せな、いつでもボスコ棟に遊びに来ていいよ!!」と言ってくれた。自分を受け入れてくれている子どもたちの思いを感じ、心が温かくなった。
Episode 208 M.H(小5・女児・2025年1月26日)
泊まり明けの朝、私はいつもコーヒーを淹れる。ある日、その様子を見ていたMさんは、「私もやる」と申し出る。私は自分で淹れたいという気持ちを抑えながら、彼女にミル(コーヒー豆を挽く道具)を渡す。出来上がったコーヒーは、まあまあの出来である。感想を彼女に伝えると、嬉しそうな表情を浮かべる。そして、「じゃあ、○○兄にもっていく!」と言って、マグカップを片手にボスコ棟へと向かう。ボスコ棟職員から「おいしい、ありがとう!」と伝えられると、彼女は「将来、カフェしたいなぁ」と笑顔で夢を語る。その様子を眺めながら、私はひとつの筋道を考える。子どもは自分の有用性を感じたとき、将来への展望が広がるということだ。
聖ヨゼフ寮において子どもたちを褒める関りは、やはり意味があると感じられた場面であった。また、私自身の趣味がきっかけで彼女が褒められたことに誇らしさを感じる場面でもあった。だが、朝のコーヒールーティンを崩された私には、行き場のない気持ちが微かに残る日曜日の出来事となった。
Episode 209 S.K(小3・女児・2025年1月19日)
自炊の日の出来事。デザート作りをする際のKちゃんの目の輝きの凄さ!何するの?どうするの?と興味津々で、「じゃあ卵を割って混ぜて」と言うと慎重に卵を割ろうとする彼女の様子に悪いと思いながらも笑ってしまった。卵がなかなか割れず何回も角に打ちつけやっと割れたかと思うと、殻がボールの中に入ったとしょんぼり。「大丈夫だよ」と言って殻を取り除いて、「もう1個ね」と再チャレンジさせると次は1回で上手に割ることが出来てご満悦。砂糖を入れてぐるぐる泡立て器で混ぜ、「出来たよー」と笑顔で言う!
彼女に、「次の時も手伝ってね」と言うと、「うん!」と大きな返事。パートとしてたまたま入った「自炊の日」。私も子どもたちとの楽しい時間が持て、日頃見ない様子に次の時も入れてくれないかなぁーと思った出来事だった。
Episode 210 H.H(高1・女児・2024年12月)
彼女はクリスマスを聖ヨゼフ寮で過ごすために帰園した。1泊2日という短い間だったが、クリスマスや学校の説明会などをこなして2日間をほぼ一緒に過ごした。入院先に送る日、本人の希望でコンビニに寄った。その時、小さなショートケーキを購入していた。私は「妹にかな?えらいなぁ」とぼんやり考えながら引率をしていたが、車内で「はい、誕生日おめでとう!遅くなったけど」と、あのケーキを渡された。彼女は私の誕生日を覚えていたのだ。帰省した時にケーキを渡すつもりだったとのこと。夏からいろいろあったが、大切にされていることや、お祝いされることの嬉しさを感じてくれているのかも…と思った。
春までまた色々大変だが、一緒に頑張って行きたいと思う。
Episode 211 K.I(小5・男児・2025年1月)
ある日の夕方、男の子のユニットに行った際、学校から帰ってきたKくんが宿題をしていた。私を見かけて「ねー、○○さん音読聞いてー」と話しかけてくれ、一生懸命音読をしているKくんの横で、あの小さかったKくんがもうこんなにお兄ちゃんになったんだと改めて成長を感じていた。
Episode 212 K.Y(16歳・女児・2024年10月ごろ)
この子は以前ヨゼフにいた児童だ。3年ほど前の夏にも電話をする機会があり通話をすると、彼女は泣きながら私の名前を呼んでいた。そして、24年の夏、彼女はまた電話口で泣いていた。勇気を振り絞って行動した日だが、彼女は泣きながら通話をしていた。それから数ヶ月…秋に面会へ行くことになった。彼女は話し出すと涙ぐんでおり、不安そうにしていた。ヨゼフでのことを話したり「覚えてたよ」と話してくれた。
一緒に過ごす何気ない日々から、思い出をこれからも作っていきたいと思う。
Episode 213 R.N&Y.T(10歳&13歳・男児・2025年1月)
いつも棟外出等、車に乗ったりグループ分けをしたりする際に必ず「S兄と一緒がいい」と言ってくれるR君。棟外出で昼食を食べる際も隣から離れようとせず、何が何でも自分の隣の席を取ってやろうという意思を感じ、自分も嬉しくなりささやかな幸せを感じていた。そこに、Y君も「俺もS兄の隣に座りたい」と負けじと隣を確保しようとしてきた。R君とY君が両側からがっちりキープをしてきた際に、「はいはい、なら左と右に座ればいいやろ(笑)」と流しながら子どもたちに伝えつつ、「あー、ヨゼフに来てよかったなあ」と私は喜びと幸せを感じていた。
Episode 214 K.T(中2・男児・2025年1月27日)
その日は棟での食事作りがあった。いつものように夕食を作り、最後の作業をしているとT君が学校から帰って来た。「せな兄の料理、最近どんどんおいしくなってきてるよ」とT君が言ってくれた。調理員として入職して、この10ヵ月間がんばってきて良かったなと思う瞬間だった。
Episode 215 T.K(中2・男児・2025年1月25日)
この日、聖ヨゼフ寮の創立者を祝う「ドン・ボスコデー」という行事が行われた。
子どもたちと職員らの沢山の出し物を見ることが出来てとてもおもしろかった。昼食は、普段話せていない棟の子ども達と色々な話題で盛り上がった。
第2部には野球大会が行われた。一緒のチームになったのがT君だった。T君は野球のルールがわからない私にわかりやすく親切に教えてくれた。そのお陰で、見事優勝することができた。T君ありがとう💓
Episode 216 Y.T(職員・男性・2025年1月)
創立記念日のお祝いの日に、長年勤めている職員の方々の永年勤続の表彰も行われた。私も表彰に与り感謝状と一緒に旅行券も頂いた。
その後のある日のこと、同じく表彰されていた職員に声を掛けた。「あの旅行券どうするの?」と。その職員さんは「自分、もう無いっす」と言う。「え!もう使っちゃたの?」 「いやぁ、うちのオカンにあげたっすよ。これ使って栃木にいる姉家族のところにでも行っておいでと」 「へ~、めっちゃ親孝行しとるやん」 「いや~オカンにはいろいろと迷惑掛けてるし、今までお世話になってきてるから、あげったす。」まさに親孝行の鏡!
別府の亀の井ホテルで、かにの食べ放題宿泊プランがあるのを見つけ、そこに行ってみようかなぁなんて考えていた自分を恥じた。自分の場合、孝行したいときに親は無し。親はいつまでも一緒に居るわけではなく、居る内に親孝行はすべきなのだ。毎月の墓参りは親孝行になっているだろうか・・・
さて、その職員さんの母親にも聞いてみた。「息子さんから旅行券もらったそうですね。よく出来た息子さんじゃないですか!」オカン曰く「いやいや一体あん子は、次は何を期待して頼もうとしてんだか・・・」。照れ笑いを浮かべながら、オカンは嬉しそうにぼやいていた。
Episode 217 Y.T (中1・男児・2024年11月)
Y.T君の部屋を、臨時のお手伝いで棟に入った炊事場のS兄が清掃した。学校から帰ったY君に、「今日、S兄が部屋を掃除してくれたよ。」と伝えた。しばらくすると、Y君が調理中のS兄の横に行き、小さな声で「S兄、ありがとう!」と言っているのが聞こえた。誰かに促された訳でもなく、自分から素直に感謝を伝えていた姿に驚いた。
Y君が入所してきた頃の様子を思い出しながら、Y君も随分と心がほぐれてきたんだなあと感動した。
Episode 218 R.O(小5・女児・2025年1月)
日頃から学童の児童と、よく遊んでくれるRさん。
ある日、「私、高校生になったら、“まりあ”でバイトする!」と、元気いっぱいに話してくれた。その後も、ドッチボールで「本気で、ボールを投げてよ!」など、注文の多い学童の子どもたちに、終始、優しく「怪我をしちゃうかもしれないから、このくらいね。」等と声をかけ続けてくれた。
下級生との遊びの中で、我慢することも多いのではないかと思い、「“まりあ”は、楽しい?」と聞くと、「うん。」と笑顔でこたえてくれた。その曇りのない笑顔に、私まで幸せな気持ちでいっぱいになった。
Rさんが、高校生になる日を、楽しみに待ってますよ。バイト、よろしくね🧡
Episode 219 T.K(中2・男児・2025年1月)
学童の児童を連れて帰ってくれたTさん。その後、学童の児童とドッチボールをして遊んでくれた。遊び終わった時の帰り際、学童の子どもたちに「遊んでくれたから、お礼を言おっか」と声をかけていると、学童の子どもたちの「遊んでくれて、ありがとう。」より何十倍も大きな声で、「ありがとうございましたっ!」と言い、去っていった。その清々しい挨拶に、心から感動すると共に、Tさんの大きな成長を感じ、幸せな気持ちになった。
Episode 220 Y.K(高1・女児・2025年1月)
毎週水曜日、学童でのバイトに励んでくれているKさん。出勤退勤の際は、全ての支援員に挨拶をしてくれ、バイト中は、子どもたちに寄り添い、優しく声をかけてくれ、コップ洗いも積極的に行っている。
ある日、学童の児童が、支援員に「おばさん!」と呼びかけた児童に対して「そんなこと言ったら、悲しいよ。」と、おだやかに諭してくれました。子どもも、大好きなお姉さんに言われたこともあり、すぐに止めてくれました。人を傷つける言葉に気付き、フォローまでしてくれたKさんの対応に心が温かくなった。あの時は、ありがとう。これからも、よろしくね。
Episode 221 K.I(4歳・女児・2025年1月)
溢れんばかりの笑顔で、ハグをしてくれるKさん。寄り添う職員さんも、Kさんに「(ハグしてもらって)良かったね。嬉しいね。」等と、笑顔で声をかけている。ハグをしてもらい、私も幸せな気持ちでいっぱいだ。Kさんのおかげで、幸せな空間が満ち溢れるその瞬間が大好きだ。Kさん、いつもありがとう。大好きだよ😘
Episode 222 I姉弟(5歳&3歳・女児&男児・2025年1月)
職員が足りず、朝の7:40登園準備でバタバタした中にヘルプで呼ばれた。登園準備も分からない私の声掛けに2人は見事に答えてくれた!!
私「コップは?」
Kちゃん「これ!」
Rくん「いらないよ」
私「タオルは?」
Kちゃん、Rくん「これ!」
私「8:10にはおもちゃをお片付けするよー」
Kちゃん、Rくん「はーい!!」
2人のおかげで、何事もなく1日が始まった。
甘えたい日もたくさんあるけど、ここぞって時には全力で力を発揮してくれる。スーパーマンでした☆
本当に助かりました。ありがとうございます。
Episode 223 O. R(11歳・女児・2021年2月)
以前Rさんより私の接し方についてのクレームが意見箱に投げこまれた。私がMさんだけに優しくしていると言うような内容だったかと思う。自分自身がそのような態度をとっているとは思いもせず驚いた事を記憶している。Rさんに対し、無視したり避けたりなどせず、普通に声かけはしていた。しかしRさんがそう感じとったのなら、私の落ち度なのだろう。
すごく自分を責めた。 皆、同じように接してきたつもりだったし、むしろRさんに対しては他の子ども達より気を使っていたはずなのに…。それ以来、子ども達と関わる時は慎重になりすぎるようになった。
自分から声をかける事が下手なので、子ども達から来てくれるのを待って対応している。もしかしたらこの仕事に向いていないのかもしれない。人との関わりの実技試験を毎回受けている感じで、帰宅しては反省するの繰り返し。何年たったらこの務めの「正解」に近づけるのだろう。
Episode 224 児童(2025年1月)
昨年から体調不良があり、休まざるを得ない日があった。体調が戻り出勤すると、「〇〇ねぇー」と言い、みんなそれぞれが走ってきて抱き着いてきた。顔を見ながら「もう大丈夫なん?」「きつかった?」と声を掛けてくれ、「大丈夫だよ。ありがとう。」と伝えると「良かった」と言い、笑顔を見せてくれる。
心配をしてくれたり、会えて嬉しいという気持ちをストレートに伝えてくれる子ども達。言わなくても伝わることもあるとは思うが、伝える事は本当に大事だと思った。今まで以上に「あなたが大事」という気持ちを伝えていきたい。
Episode 225 K. S(中3・男児・2024年12月9日)
夕方のごはんを炊事場に取りに行っていると、体育館でS君が1人であちこち散った忘れ物のボールやおもちゃなど 回収していた。
「あら、S君どうしたの?」「誰かが使ってなおしてないから片づけしてる」と。
なんて感心な子なのだろう。それも嫌な顔せずにこにこして答えていた。私だったら「もぉー!!誰!!」って言うと思う。「片づけないと次から使わせんよー!!」と。
S君から学んだ大切な心がけだった。S君ありがとう。
Episode 226 S.S(年長・男児・2024年12月)
言語発達に遅れが見られているS君。以前は、車で送迎したり、遊ぶ際にジェスチャーなどで伝えたり意思表情を表していた。ところがここ最近は、発語の数が増えたり、つながる言葉も多くなってきている。これからもきっと生活に困らないよう、いろんな言葉を話せるようになっていくのだろうと期待する。そのためにもっともっと関わりながら応援していきたいと思う。
Episode 227 卒園生S.I(23歳・男性・2025年1月)
時々ひょっこり顔を見せるS君は、今年23歳になる若者である。園を出て5年が経過している。
思ったら、行動してしまい、行動した後で考えてしまうタイプである。当然、失敗や他の人との調和がとりづらく、仕事も長続きしない。
彼は自分の個性に気付いているが、中々変えられずにいる。結局、人間関係が原因で転職、欲しい品があると買ってしまい借金が付きまとっている。安定した生活や、周囲の人とのコミュニケーションが出来ず、危険予知能力も低い、無鉄砲である。
彼は予告なくやって来る。相手の都合にお構いなしに、自分の都合で動いている。周囲は見ていてひやひやするばかりである。
そんな彼がいつものようにひょっこりやってくるのは何故なのだろうか。
ここを港と思っているのではないか。大海で疲れた小舟は母港に帰り心のエネルギーを補給し、再び船出するのではないか。
先日、サレジオ会日本管区主催の「協働者の集い」があり、その席で管区長のお話があった。「受け入れる心 心から受けること 我々は家族なのだ 一緒にやろう 互いに繋がっている ファミリーなのだ」という話があった。
これからもS君を家族のように心から受け入れようと考えている。
Episode 228 R.Y(中2・女児・2025年1月3日)
彼女は小学校3年生の時、嬉々としてここを出て家庭復帰を果たしたが、中2になって再び弟と一緒にここへ入所してきた。新たに傷を負って帰って来たRさん。
以前ここに居た時には、会う度に抱っこやおんぶをせがんでいたRちゃん。「さんぽ」を一緒に歌いながら、くたくたになるまでRちゃんをおんぶしてグランドを歩き回っていた記憶が懐かしく蘇る。今は私と身長が変わらないほど大きくなっており、彼女自身、ここでの生活を思い出し、懐かしみながら生活をしているが、どことなく警戒し、様子を伺いながら過ごしているのが感じられる。かつての心の底からの明るい無邪気な笑顔はどこか行ってしまっている・・・
正月が明けてすぐの時、私は彼女が居る棟に泊りの勤務に入り、その日の夜は小学生の部屋の片付けを手伝っていた。夕食の食器は洗浄機に掛け終え、あとで片づけることにしていた。ところが、部屋の片付けを終えて台所に戻ってみると、食器はすべてきれいに棚の中に片付けられていた。こたつでTVを見ていたRさんに、「もしかして食器片付けてくれたの?」と尋ねると「ううん」と首を振りTVを見続けている。他児に尋ねるとやはりRさんが片付けていたとのこと。彼女のさりげない且つ照れた優しさに静かに感謝した。
もう抱っこもおんぶも出来ない年齢だ。こんなこと(傷ついて再入所)になるなら、抱っこを求められていた時にもっともっと抱っこしてあげておけば良かったと後悔している。かつてのあの笑顔を取り戻せるように応援していきたい。
Episode 229 R.N(小6・男児・2025年1月)
インフルエンザの予防接種のため、数名の子どもたちを車に乗せて病院に連れて行った。注射をされるための通院であることは皆わかっている。シーンとした車内ではおしっこは漏らさなくても、子どもたちの押し殺している緊張感はすでに漏れていた。
病院についていよいよ車から降りるとき、6歳のS君がついにわめき散らしながら降車拒否をはじめた。いくらなだめても励ましても、シートにしがみついて降りようとしない。そんな様子を見かねて、R君が優しくその子の手を取り、「大丈夫だから行こう」と励ましながら降ろしてくれた。院内でも不安がっているその子のそばでR君は寄り添い、そのおかげでなんとかS君は予防接種を受けることが出来た。
実はR君も、かつては予防接種の通院となると必ずギャン泣きを繰り返していた。看護師として入職したてだった私は、自分の方がむしろ泣きたくなるぐらいR君には手をやかれていた。3年間程そんな様子であったが、R君はいつの間にか泣かないで受けることが出来るようになっていた。
通院の帰りの車中では、笑顔ではしゃぐ子どもたちの姿がミラー越しに見える。優しくたくましいお兄ちゃんに成長したR君の姿に今日はとても驚かされ、感動して一人涙がでそうになるのを必死でこらえて運転した。
Episode 230 M.H&K.S(小5&小3・女児・2024年12月1日)
日曜日の昼下がりのこと。グランドに出てみると、二人の女の子たちが自転車にバケツを乗せて、ニコニコしながら何やらしている様子が目にとまった。気になって近づいて見ると、MさんとKさんが、拾い集めた石ころにマジックで何かを書いてケラケラ笑っている。見せてもらうと、その石ころの一つ一つに素敵なメッセージが書かれていた。
「キミはしあわせものだよ」「キミはサイコー ^_^」「かわいいね」「ねがいがかなうかも・・・」 よく見ると葉っぱにもメッセージが書かれている「キミはてんさい❗」
それらをどうするのか見ていると、自転車に乗って、あちこちにばらまきながら走り回り始めた。どうやらそれを見つけた人たちが幸せな気分になれるための宝物を準備し、こっそりと仕掛けていたようだ。なんて素敵な発想だろう‼😜 寂しく不幸な生い立ちを背負っているはずの彼らが、とても前向きな生き方、人を前向きにする生き方をしていることに驚かされ、明るく成長している姿に嬉しくなり、感謝した。
その数日後、グランドで野球をしていた男の子と職員が、「幸福な石ころ」を発見していた。彼らはまんまと「お!めっちゃラッキー♪」と喜んでいた。
人を幸せにする伝道師さんたち、ナイスプレイ。でも、幸せの宝物を蒔いていたあなたたちこそがとても幸せそうでしたね。それを見ていた私も幸せになりましたよ。どうもありがとう💛
Episode 231 全児童・卒園生(2025年4月)
今日は私にとって人生で一番の大イベント。披露宴も終盤に差し掛かり、式場の大スクリーンに子どもたちや卒園生そして職員からのお祝いメッセージ動画が映し出された。私は感極まって涙が止まらなかった。
上映が終わるといきなり、レインボーカラーのアフロ姿+サングラスをした神父様が、菜の花の巨大ブーケを持って会場に乗り込んで来た。びっくりして私の涙は引っ込んだ。「これは聖ヨゼフ寮で咲いた菜の花で、今日はみんなで摘んで花束を作り、中津から走って持って来ました‼」と神父様から花束を受け取り、また涙が溢れ出た。泣いたり笑ったり今日の感情は本当に忙しかった(笑)
ここに入職して、子どもたちに助けられ、支えられていると日々感じる。少しずつ恩を返していきたい。“自分が愛されていると感じられるような関わり”を続けていきたいと思う。私にとって忘れられない日になった。
皆さんに心からの感謝を伝えたい。どうもありがとう🧡
Episode 232 K.Y (14歳・男児・2025年3月)
K君は最初は口数少なく、よそよそしい感じだった。
絵を描くことが好きで、帰ってからもよく紙に描いたものを見せてくれた。
ピアノも毎日独学で練習しており、日に日にうまくなっていた。
「上手になったね! すごい!」などと接するうちにKくんもだんだん話かけてくれるようになった。
ある時、お花が好きな私のために「これ飾って!」と言って花をプレゼントしてくれた。
K君が、人のために何かをするということ、またそのことに喜びを感じている様子に心の成長を感じ、とても嬉しく思った。
子どもとの信頼関係を築くには時間がかかることではあるが、気持ちに寄り添い、接することが大切なんだと気づかされた。
Episode 233 I.K(5歳・女児・2025年6月)
「出来ない!」という言葉が多く、着替えや髪を結んだりするのを勧めるもいつも「出来ない!」が口癖になって怒っているKちゃん。
「もうお姉ちゃんだから出来るよ」とめげずに声を掛け、出来た事に対して何でも褒めていると、徐々に自身がついてきて更にやってみようという気持ちになり、褒められることに喜びを見出し、褒められると満面の笑みで喜んでいるKちゃん。自分も「もうお姉ちゃんだから」と誇らしげに言っている。日に日に上手にこなすことが出来て来ており成長しているなーと感じている。
Episode 234 命日の祈り(2025年・夏)
入所している子どもたちの中には、家族を亡くしている子どもたちもいる。
その子どもたちのために、月命日に亡くなられた家族の霊魂の安息を祈る機会を設けている。
自分で摘んだ花を手向け、献香をし、手を合わせて祈りを捧げる。
毎日登校していること、絵を描いたり、野球をしたり、頑張って生活していることを報告して、天国からの応援をお願いして祈る。
会えない寂しさを抱えつつも、それを乗り越えて前に進もうとしている子どもたちがいる。
Episode 235 S.S & S.O (7歳・男児 & 9歳・男児・2025年 夏)
二人の子ども達の寝かしつけに入った。普段と変わらず彼らはじゃれ合いや雑談をして過ごしている。その時にふと小4のS君が自分の持っているぬいぐるみを私にプレゼントしてくれた。不意なプレゼントにびっくりして、最初は「気持ちだけで十分だよ。」だったり、「代わりに可愛がって。」とやんわり断りましたが、やっぱり持っていて欲しいと言われ、「ありがとう」を伝えて受けとった。それを見ていた小1のS君も私にぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
彼らの優しさに触れ、嬉しさと驚きで少し泣きそうになった。この仕事について素敵な子ども達と出会え、改めて頑張ろうと思った。
Episode 236 K.I (5歳・女児・2025年6月)
最近Kちゃんは、ひらがなの書き方の練習を始めた。一生懸命に字をなぞるKちゃん。
始めた頃は自己流で字をなぞっていたが、職員から「ほら数字が書いてあるでしょう。これは書く順番なんだよ。」と声をかけられて「1、2、3」と数字の順番通りに書く練習を頑張っている。たまに間違えても「あっ!まちがえた」と消して書き直すようになった。
やる気満々のKちゃん。一緒に本を読める日も近いかな!と楽しみに待つ、今日この頃。
Episode 237 S.S(7歳・男・2025年6月)
ヨゼフへ来たときは2歳にもなっていなかったS君。当時私はマザレロ棟の職員で、S君がヨゼフに来てから私が棟を移動するまで短い期間ではあったが関わっていた。当時は女性職員と特定の男性職員のみを好み、私には抱っこすらさせてくれなかったS君。月日がたち、そんなS君と一緒の棟で生活をするようになり担当にもなった。S君の成長ぶりは目まぐるしく、ものすごいスピードで成長をしている姿を見て、日々感心している。当時は抱っこすらさせてくれなかったS君だが、今では毎日のようにハグをしてくるし、私が宿直の際にはとても喜んでくれている。大変なことももちろん多いが、子どもの成長を一番近くで感じることができる、愛情を直に受け取る事ができる、与える事ができるこの仕事はとても素敵だなと思う。
Episode 238 職員H (男性・2025年5月22日)
今日は職員歓迎会の日。若手職員の車に便乗して中津駅へ。駅の構内を抜けた先にあるアーケード街に、歓迎会が開かれるお店はある。駐車場から駅に向かって歩いていると、誰かがポイ捨てをしたらしい空き缶が道の真ん中転がっていた。「え!今時、こんな道端に堂々とポイ捨てするなんて・・・マナーの悪い人がいるもんだなぁ・・・」と呆れつつ、集合時間に遅れないよう道を急いだ。と、その時、後ろで誰かが空き缶を拾う音がした。振り向くと、あの若手職員があの空き缶を拾って持ち歩いていており、ちょっと先のコンビニのゴミ箱に捨てていた。「H兄!すごいね! たいしたもんだ。いや~本当は後輩に手本を見せるよう自分が拾わなければならなかったのに、僕はH兄に教えられたよ。いや本当に尊敬するよ!」と思わず声を掛けた。照れて笑うH兄の顔がまぶしかった。
さて、これから美味しいモノを食べに行くところで、誰が飲んだかわからない汚いモノには当然触りたくはなく、手が汚れるのを嫌がって、ゴミを見て見ぬふりをしたちっぽけな自分を反省。街角でもゴミを拾い、片付ける誠実さを持った職員がウチにいることを誇りに思った。H兄のように素直に善を行い、もっともっと自分を磨いていこうと心を新にした。
Episode 239 K.S(9歳・女児・2025年5月)
小さい頃から一緒に過ごしてきた女の子。今は小学4年生になり、色々な成長を見せてくれてきた。
ある日、子ども達と職員で棟を出て外遊びに行こうとした際に、私が留守番で棟に残ることとなった。それに気づいたのか、Kちゃんが「私行かない」と言い、外遊びに行くのをやめてリビングで絵を描いて過ごし始めた。少しすると、他児らがKちゃんを遊びに誘いに来た。私が「行ってきていいんだよ」と言うと、「じゃあ行こうかな」と言い、玄関に行った。するとまたすぐに戻って来て、「私が行っても寂しくない?」と聞いてくれた。
日常の他愛もないやりとりだが、子どもたちの日常の一言や仕草に、いつも癒され、心が温かくなっている。この仕事のやりがいと言っていいところだ。
私も子どもたちに、”温かい”を届けられるように過ごして行きたい。
Episode 240 蝉の抜け殻 (2025年・夏)
この夏、聖ヨゼフ寮では7月8日の朝から蝉が鳴き始めた。子どもの頃も若い頃も、いつから蝉が鳴いているかなんて、全く意識することなく夏を迎えて汗を流していた。ここ数年、蝉の鳴き始めにようやく気づくようになった。自分の中でも少しずつ何かが変わっているのだろう。
ブロック塀に一つの蝉のぬけがらがくっついているのを見つけた。なんでこんなところで?柔らかい木の幹や小枝、葉っぱではなく、何であなたは地面から這い出したあとに、わざわざこんな過酷なところで成虫になり飛び立ったんだい?問わずにはいられなかったが、キミはよく頑張ったねと、ここに抜け殻を残していった蝉にエールを送った。その抜け殻を見ていると、ここヨゼフで生活していた子どもたちや生活している子どもたちの姿と重なるものがあるのも見えてきた。過酷な背景を背負っている子どもたち。温かな家庭環境に恵まれず、施設から旅立つ子どもたち。君たちもこの蝉のようにたくましく元気に羽ばたいていってほしいと静かにエールを送った。
Episode 241 職員S (男性・2025年6月)
職員Sさんが、実習生に指導していた時のこと。その実習生に対して、「今、体育館で職員のIさんが、子どもたちと一緒にいるので、そちらに行ってください。Iさんの子どもの接し方はとても勉強になると思うよ。」と言って、体育館に送り出していた。
同じ職員の長所を理解し、実習生の学びをすすめる姿にとても感動した。
Episode 242 T.S (9歳・男児・2025年7月)
一時保護児童の解除(家庭復帰)にたまたま立ち会った、同じく一時保護児童のT君。
保護解除で母親が来園し、子どもたちと再会し抱き合って喜びを分かち合っていた。それを見ていたT君は、「僕も妹がいる」「妹は一緒に暮らしていない」「お母さんはきらい」「お母さんは僕をすてたから」と話し始めた。
きっと、お母さんにも、妹さんにも会いたいんだろうな…。
若干、9歳で計り知れない思いをしてきたT君。分かったようなことは言えなかった。
これからの出会いが温かなものでありますように…
Episode 243 S.S (小1・男児・2025年・夏)
朝起きる際、彼のその時の気持ち次第で起きる時間が変わっていく。今日は、前日に新しい服を購入したせいか、目覚めが良く、気持ちも良い様子で登校準備も手早く行うことが出来た。彼は食パンが大好きで、今朝も嬉しそうに食パンを頬張っている。
片言ではあるが、意思表示をことばに出して話せるようになってきており、少しずつ成長しているのが感じられるのが嬉しい。これからも頑張って成長していけるよう応援していこう。
Episode 244 組織力(2025年7月)
令和7年6月30日(月)、Aさんより「7月末での退職を考えています。」と申し出があった。
Aさんは中学生の頃から児童養護に興味があり、学生時代もボランティアを行っていた。短期大学を卒業後、念願の聖ヨゼフ寮へ就職することになった。3年間いろいろな苦労を乗り越え、今年で4年目であった。
事実関係を確認するため、同じ棟の職員や子ども達の意見を聞いてみた。数カ月前から子ども達との間がしっくりいかず、一度は関係修復したがまた問題が起き、お互い平行線の関係が続いているという。
志半ばで去ろうとするAさんに、どう接すればよかったのだろうか。今となっては残念である。
お互いにゆずれない、自分なりのやり方を通していくとどちらかが我慢しなければならない。神様は「許しなさい」「忍耐をもって接しなさい」と教えている。一方的に許し続けることはできないよなぁ。
今後残された期間でAさんと子ども達が折り合いの付け方を見つけ、後のことがすっきりと前に進めるようになってほしいと願っている。
組織としての力不足を認め、改善して行くことが皆に求められている。
Episode 245 T.K & W.G & K.G (中2・男児 & 退所児童兄弟)
関わり方が難しいと感じる子どもに、意外な一面を見ることがある。
「どうせ俺は・・・」が口癖のW君は、「俺、結構、花、好きで」と言っていたのを思い出す。Kちゃんは、花を植えている私に、「俺、マリーゴールド好き」と言う。好きな理由を尋ねると、「ばあちゃんが植えていた」と園に来る前のことを教えてくれた。
いつもイライラして文句の多いT君は、梅の枝を見て、「だいぶ咲いてきたな」とつぼみの膨らみ具合、咲き具合に関心がある様子でつぶやいていた。
花には、人を素直な気持ちにさせたり、穏やかにさせたりする力があるのであろうか。それとも、本来、人は美しいものに惹かれる性質があるのであろうか。そして、かかわりが難しいと感じているのは、私の先入観なのであろうか。
子どもたちのつぶやきに、私はささやかな幸せを感じた。
Episode 246 M.K(高1・女児・2025年6月)
高校生活に慣れて来た頃から、交友関係が広がり異性関係や門限の問題など少しずつ大人が心配に思うことが多くなってきた。そんなある日、本児と話をする機会があった。友人のこと、彼氏のこと、学校のことなど沢山のことを話してくれた。
そういえば、中学生の頃も心配していた時期に話をしたなぁと思い出した。
中学生の頃は「友達もいない」「勉強も分からない」「学校は楽しくない」「行きたくない」と話していた。実際に、学校を休みがちでとても心配していた。
高校生の今「学校は楽しい」「友達もできた」「勉強は分からん」「休まず登校してる」と話した。子どもらしく笑って話してくれるMさんにとても安心した。
しかし、異性関係や門限については、とても心配していることを伝えた。「だって、門限早すぎやろ!!高校生よ!!」と言っていたが「Mさんの大事に思っているK姉(職員)もとても心配しているよ」と伝えると。はにかみながら「うん」とうなずいた。「みんなMさんのこと大事に思ってるからね」「もう少し、安心、安全を守らせてね」と伝えた。Mさんはニッコリして「うん」とうなずいた。
子どもたちが施設に入所し「この人だけは」と大事に思える存在の大人に出会えることは、とても素敵なことだと思う。そのような存在がいるから、頑張れる。
Episode247 七夕飾りの短冊 (2025年・夏)
この夏から、児童相談所を舞台として繰り広げられる「明日はもっといい日になる」という新月9ドラマの放送が開始された。主人公は夏井翼(福原遥)。所轄の刑事である翼は、捜査ミスが原因で、児童相談所への出向を命じられる。刑事の仕事への未練を感じながら児童相談所へ赴任した翼が向き合う相手は、凶悪犯から小さなこどもに……。
さて、そのドラマの中で七夕飾りが映る場面があった。「ママに会えますように」「お家に帰れますように」「家族といっしょにすごせますように・・・」と一時保護所で暮らす子どもたちが書いた短冊が風になびいている。「当たり前のことを願わなくちゃいけない子どもたちがここには沢山いるんだよね~」と一時保護所の課長さん(柳葉敏郎)が主人公の翼に語る。確かに施設に入所している子どもたちも「当たり前のことを願わなくちゃいけない子どもたち」だよな~と思った。
翌日、各棟の七夕飾りもう一度見てみた。ドラマではなく現実の“飾り”である。「にがてなものも たべられるようになりますように」「皆が健康でいられますように」「せかいがへいわになりますように」前向きに生きようとしている子どもたちの姿があった。中には家に帰ることや家族との関係構築に、諦観を持たざるを得ない厳しい現実の世界の中で生きている子どもたちがいることは切ないが、それでも不器用ながらも前向きに生きようとしている子どもたちがここには沢山いるのだ。そして私たちはその前向きな思いに寄り添って不器用に支援している者なのだと、改めて気づかされた。
Episode 248 倒れた鯉のぼり(2025年5月)
真夜中、思いのほか激しい雨風の音がしていた。
翌朝、中庭に目をやると何やら芝生の上が賑やかな様子。近づいて見ると鯉のぼりが散乱していた。
昨夜の風でロープが切れてしまったのかと思いきや、支柱の先端の方から竹が折れており、風車もろとも落下していた。皆で苦労して設置した鯉のぼりがダメになってしまっていた。
人生には、試練はつきものである。
試練に負けず、風の強さにも負けず、皆でまた力を合わせてこの試練を乗り越えていかなくては。
その日の午後、早速、一からやり直すべく立て直し作業に取り掛かった。敷地内の竹林で、太く真っ直ぐに伸びた竹に目星をつけて、伐採し、その後は、職員と子どもたちで力を合わせて、枝落としとヤスリを使ったささくれ除去作業を手分けして行った。いよいよ、皆で折れた支柱を抜き外し、新たに準備したより高い支柱を協力して立て、新たに鯉のぼりを無事揚げることが出来た。
皆で力を合わせて困難を乗り越えていくことを大切にしていきたいと思う。
「一人の小さな手 何も出来ないけど それでもみんなの手と手を合わせれば
何か出来る 何か出来る」
歌『ワンマンズハンド』アレックス・コンフォート作詞